音楽日記

クラシック音楽とオーボエをゆるく愛するブログです。

ブランデンブルク協奏曲は第3番が好きと言ったら怒られた話

まこぼえです。

クラシックにまつわる、ちょっとした思い出話をします。

 

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ベルリンフィルバロック特集と題したコンサートの曲目に、バッハのブランデンブルク協奏曲第3番が入っていた。

私は子供の時からブランデンブルク協奏曲が好きで、特に第3番が一番好きだ。

軽快でワクワクする感じで、朝に聴くと「さあ、行こう♪」という気分になる。

 

高校の時、音楽の授業でブランデンブルク協奏曲が取り上げられたことがある。

 

「5番が一番有名なので、5番を聴きましょう」

 

先生はそう言った。

 

5番が有名なのか…?!音楽の専門家の中では5番が一番評価されているのか?!

 

ふーん、、、

 

なんか煮え切らなかったが、そういうものだと理解しようとした。

 

 

 

しかし、「5番の乱」はこれに終わらなかった。

世界史の授業でも、ブランデンブルク協奏曲が話題に上がった。

 

ブランデンブルク協奏曲を知っている人はいますか?」

 

私はおそるおそる手を挙げた。音楽の授業のもやもやがまだ消えていなかった。

 

先生と目があった。

 

「全部聴いたことがありますか?何番が好きですか?」

 

「私は3番が一番好きです。」

 

「あー、うーん、私は5番ですね。5番が一番メジャーですよね。」

 

その先生の「あー」は、「おまえ分かってないな」というニュアンスが感じられる言い方だった。

 

 

好き嫌いを聞かれたのに、一番有名なものを答えないと否定された

子供の頃から好きな曲だっただけに、ショックが大きかった

 

 

それから年月が経ち、この話は「子供の頃のちょっと嫌な話」として、記憶の片隅に置かれていた。

大人になり、海外の映画を観るようになったが、映画のさりげないBGMにブランデンブルク協奏曲の第3番が度々使われていることに気がついた。

 

ある時、海外のホテルのロビーでブランデンブルク協奏曲の第3番が流れていた。

その時一緒にいた、アメリカ人のクラシックファンの友人に思い切って聞いてみた。

 

「いまブランデンブルク協奏曲が流れているけど、この3番、映画などでもよく使われているよね?

日本では5番が一番有名だけど、欧米では3番が有名なの?」

 

「えっ、ブランデンブルク協奏曲って言えば、第3番じゃない?」

 

 

 

 

「「えっ」」

 

 

 

 

本当に欧米では3番がメジャーなのか?

友人は音楽関係者ではなく、あくまでファンなので、友人の好みの問題?

しかし実際、外国の映画やホテルのロビーで耳にするのは3番…

 

 

長年くすぶっていたブランデンブルク・コンプレックス。

頭の中が混乱してしまい、友人の反応をすぐに受け入れることができなかった。

 

 

自分の部屋に戻り、1人になった時に、落ち着いて考えた。

 

3番が欧米でメジャーかどうかは検証が必要だが、「ブランデンブルク協奏曲と言えば3番」と思う人が

私以外にいた。

その事実は私を少しハッピーにした。

 

 

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2020年6月、ベルリンフィルが「バロック協奏曲集」のコンサートをオンラインで開催した。

 

曲目の中にバッハが2曲

ブランデンブルク協奏曲第3番

ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲

 

 

やっぱりブランデンブルク協奏曲といえば3番なのか?

でも、答えは分からない。

 

昔の傷がちょっとだけうずいた。

それでもやっぱり3番が好きだ。